【内容】
突出力の必要性
(1/100)3乗思考の活用
オンリーワン戦略の事例
1.脱・金太郎飴の都市開発
最近の都心の再開発は、「金太郎飴のように何処も似かよった構成になっている」とよく言われます。
高層部はオフィスやホテル・住宅で構成され、低層部には商業施設とホールなどの地域貢献施設が整備されているような、複合都市開発ばかりが生まれていると言うことです。
都市再生特区を活用し、地域貢献施設としてホールなどを整備することで、容積緩和を受けて高層部に積み増ししたオフィスなどで収益を上げる事業構造になっているため仕方がないのでしょうか。
これまでは、「容積率を高めて、巨大化」すれば有利だったのかもしれませんが、人口減少社会では、逆に厳しくなっていくのではないでしょうか・
オンライン1stの時代に、選ばれる街、ワザワザ訪れたくなる街になるための戦略が不足しています。
星野リゾートの星野佳路氏は、「観光地のコンセプトは、魚が美味しい、温泉がある、星がきれい、程度ではダメで、記憶に残る他には無い魅力づくりが必要だ」と語っています。
このようなスタンスから北海道 トマムの「雲海テラス」などが、生まれたのだと思います。
こう書くと、「日本一長い〇〇、日本一大きな〇〇」というナンバーワン競争を煽っているように見えるかもしれませんが、「ナンバーワン」ではなく「オンリーワン」戦略が必要なのです。
2.(1/100)3乗思考の活用
オンリーワン戦略に有効なのが、(1/100)3乗思考です。
【(1/100)3乗=百万分の一】の戦略は、教育研究家の藤原和博氏やクリエイティブディレクターの佐藤尚之氏が提唱しているセルフブランディング論です。
【1/100×1/100×1/100=1/1,000,000】
一つの領域で、百万分の一の突出した存在になることは、非常に難しいけれど、1/100の実力を複数(例えば3領域)持つことを目指す方が、効果的・現実的だという考え方です。
走力で言うと、百万分の一を目指すには、日本トップクラスの実力が必要ですが、1/100と考えれば学校での2~3クラスで一番のレベルで十分になります。
これと掛け算になる他分野の個性を見つけて、その分野での実力にも磨きをかけていく訳です。
例えば陸上選手の為末大氏のように世界最速でなくても「足が早い」×「科学的トレーニングに精通している」×「パラスポーツ・ネットワークを持つ」となると、他者が追随できない 【ONLY ONE的なユニークな存在】になるのです。
都市開発の場合でも、「日本一高い」「日本一大きい」とは異なる魅力づくりの手法として、(1/100)3乗思考は活用できるのでは無いでしょうか?
3.オンリーワン戦略の事例
(1/100)3乗思考によるオンリーワン戦略の事例として、都心にある複合都市開発のリニューアル構想を例示します。
重厚で閉鎖的な建物を、時代に対応させて「街とつながるオープンな界隈イメージに一新したい」というゴールを持っていました。
隣接する首都高速の巨大な構造物は、圧迫感と分断をもたらす問題要素でもあり、リソースとしての要素ももっていました。。
このような条件をもとにディスカッションで得られたアイディアは、「首都高速による雨除け」×「首都高速の構造物の程よい規模感」×「居心地の良さを作り出す設え」による「屋根付きのマルシェ界隈化」でした。
高速道路の圧迫感を軽減する設えを施すことによって、都心では貴重な「雨を気にする必要が無い、街に開かれたイベント会場」として活用することが可能だと言う結論に至りました。
このように、「場所の特性」に「他の機能やテーマ」を掛け合わせることによって、オンリーワンの魅力化が可能になります。
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