top of page
検索

次世代医療モールの時代① コロナ禍に伴うクリニック業界の崩壊

コロナ禍は飲食業や観光業だけでなく、意外なことにクリニック業界にも大きな打撃を与えました。「街のかかりつけ医」としての役割を担ってきたクリニックの2020年度の廃業は500を超え過去最多になると予想されます。医療費総額は−4%でクリニック全体の8割が減収になり、減収率も平均で2割に及んでいます。特に影響が大きかった耳鼻咽喉科、小児科はコロナ対策が徹底され、インフルエンザなどの季節性感染症が大幅に抑えられた事と、三密を避けた高齢者たちが所謂「コンビニ受診」を控えたことが要因と考えられます。

2022年秋からは後期高齢者の医療費負担が2割に増額されるため、長期的にも受診者の低減要因になると想定されます。

これまで「大学院→研修医→勤務医→開業医」というキャリアプランに沿って、勤務医(平均1500万円)に比べて倍近い収入になる「開業医というゴール」を目指してきました。クリニック数は増加の一途を辿ってきました。2018年時点で全国の医療施設は約18万施設あり、その内訳は病院が約8400、一般診療所は約10.2万、歯科診療所が6.9万になります。最も増加率の高いのは「無床診療所」で67,457(平成8年)から95,157(平成30年)と141%になり、全医療施設の半数を超えています。

クリニック経営者の平均年齢も2021年には66歳になり、10年前から10歳高齢化が進んでいます。後継者の不在率も73.6%と全産業平均の65%を大きく上回り、高齢化と後継者問題が深刻化しています。

今回のコロナ禍でその無力性が浮き彫りになり、批判の的になった医療業界ですが、零細事業者が過剰に開業するという日本独特の医療システムも淘汰の時代へシフトしたと言えます。


最新記事

すべて表示

今 なぜ「道の駅」なのか? シン道の駅 ①

【内容】 登録件数1200ヵ所を突破したヒット施策 進化する道の駅 「道の駅」のあり方検討     1.登録件数1200ヵ所を突破したヒット施策 郊外の幹線道路をいくと、よく見かけるようになったのが「道の駅」です。 「道の駅」とは一般道路に整備された「高速道路のサービスエリ...

プロジェクト推進の未来 ベクトル・メイク ⑩

【内容】 都市開発プロジェクトの手順 未来に踏み出す 都市開発の成功とは       1.都市開発プロジェクトの手順 都市開発関係の仕事に就いて30年余りになりますが、以前から疑問に思っていたことがあります。 それは「どうして何度も、何度も、計画を作り直す手戻りが起こるのか...

ストーリー化 ベクトル・メイク ⑨

【内容】 ワークショップの熱狂と限界 ストーリーとして組み立てる 企業連携で外圧を活用する     1.ワークショップの熱狂と限界 前述した通り、 ワークショップは、適切なファシリテーションによって、心理的安全性が確保された「前向きな場」が醸成されると、一種の熱気を帯びてき...

Comments


bottom of page