【内容】
1.売らない店舗の可能性
2.日本型のサードプレイス
3.サードプレイス・キャストとしての接客業
1.売らない店舗の可能性
次世代接客業のロールモデルの二つ目は、「b8ta」です。
元祖ショールーミング・ストアとして有名ですが、区画当たり月額30万円という条件で、「スペース貸し」×「データ収集」×「接客・デモ」という価値提供を行っています。
単純換算はできないでしょうが、40㎝×60㎝の区画で月額30万円ということは、月坪効率に換算すると、410万円程度(一般的な物販の場合30万円〜50万円)になります。
店内に設置されたカメラと、商品横のタブレット、及び接客から収集されたマーケティングデータ(製品の前を5秒未満で過ぎ去った人、5秒以上滞在した人、スタッフが製品デモした回数、客との直接コミュニケーションから得られた感想・改善要望などの定性データなど)が出品企業に提供されます。
テスターと呼ばれる店舗スタッフは、商品を売り込むことはありませんが、体験の手伝いや、疑問や質問に対するフィードバック、購入希望者へのサポートを行います。
また店内でのイベント企画や、出店企業とのコミュニケーションも求められます。
2.日本型のサードプレイス
商業施設において、【顧客の滞留時間と商品の売り上げとの相関関係】は、以前から経験則として認識されてきましたが、滞留時間と価値が直結するb8taの事業構造は、次世代の接客業の参考になるのではないでしょうか。
滞留時間を高めるには、サードプレイスとしての居心地の確保が重要です。
日本の場合は、海外の人ほど「見知らぬ人とのコミュニケーション」に対して、積極的ではありません。
「対面交流」よりも、どちらかといえば「店主による紹介型の交流」や「共同で作業をしながらの交流」、或いは「一人でゆっくり過ごせる場所」などの方が、一般的なサードプレイスかもしれません。
スターバックス・コーヒーも、日本上陸当初は、本国同様に会話や交流を楽しむスタイルを採用していましたが、一人の空間を欲する中高年男性には不評だったため、欧米にはないマイスペース型併用の店づくりにチューニングし、幅広い支持を得るに至っています。
超高齢社会化とコロナ禍を踏まえ、ますますその存在感が高まりそうな、サードプレイスですが、日本人のコミュニケーション特性に対応した空間・サービスが必要だと考えます。
3.サードプレイス・キャストとしての接客業
リアルな顧客接点と自社サイトへの誘導を求める D2 Cメーカーに対して、「何を提供し、どんな評価・対価を得るのか?」について明確にする必要があります。
さらにはお客がどんなモチベーションで、そこを訪れるのか?新商品を見たいだけなのか?買いたいのか?も課題になってきます。
客が「どのような振る舞い」ができるのか?曖昧では戸惑ってしまいます。
現状のショールーム・ストアや体験型ショップは、この「居心地と役割(立場)」とが曖昧だから集客力に欠けるのではないでしょうか?
広義のカフェと想定すれば、ドリンクにお金を払えば、一定時間は居場所があり、その売上をもとにテナント賃料が支払われます。
カフェ収入をあてにするわけでは無いので、低料金でドリンクを提供可能です。
次世代のサードプレイス・キャストとして、どのような「居心地と役割」を作っていけるかが問われているのではないでしょうか。
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