【内容】
世界から取り残されている日本
スタートアップとは
スタートアップ企業の重要性
スタートアップ支援施設の台頭
1.世界から取り残されている日本
経産省は「スタートアップについて」と題された資料で、 GAFAMを含まない場合には日米企業の株価の伸びが変わりないというデータを元に、新興企業といえるGAFAMが米国の成長を牽引している状況を提示して注目を浴びました、
世界で戦えるスタートアップを早急に創出しなければ、日本は世界から取り残され、世界との差は開くばかりだと警告しています。
ユニコーン(企業価値10億ドル以上の非上場企業)の企業価値合計の国際比較では、米国:488社・16425億ドル、中国:170社・5,751億ドル、欧州:116社・3,810億ドルに対し、日本は11社・153億ドルという状況(2021年)です。
日本もユニコーンを創出しているものの、そのスピードと規模は、米国のみならず中国や欧州にも大きく遅れをとっています。
「安定を求めリスクを取らない」これまでの経済社会の制度・慣行、組織体質の変革を含め、政府が一歩前に出て、スタートアップが迅速かつ大きく育つ環境の必要性を強調しています。
2.スタートアップ企業とは
スタートアップ企業とは、創業して間もない企業を総称して呼ぶ場合もありますが、経産省の定義にある、「先進的なアイデァ・技術を強みに、新しいビジネスを作り出し、短期間で急成長を遂げる企業(経産省:平成30年度地方創生に向けたスタートアップエコシステム整備促進に関する調査事業報告書)」を指すことが一般的です。
ベンチャー企業との違いでは、ベンチャー企業が既存のビジネスモデルを活用するのに対して、スタートアップ企業は新しいビジネスモデルを手探りで構築していく企業とされています。
3.スタートアップの重要性
スタートアップの意義とスタートアップ支援の重要性は、経産省の「スタートアップの力で社会課題解決と経済成長を加速する2024年9月」レポートでは、下記のように整理されています。
スタートアップは経済成長のドライバー:上記に示したように経産省も引用している「GAFAM除けば日米の株価成長は同じ?:ダイヤモンドオンライン」の記事によると、2013年9月の日米株価の終値を100と置いた場合の暴落率は、 GAFAMを除いた場合は、2023年末時点で、日米ともに200程度と同等ですが、 GAFAMを含むと、米国が700を超える状況です。GAFAMに代表されるスタートアップ企業こそ直近10年の株式市場を牽引(=成長ドライバー)と言えます。
スタートアップは雇用創出にも大きな役割:スタートアップによるGDP創出額は、直接効果で10.47兆円、間接波及効果を含めると19.39兆円と試算されています。
スタートアップは新たな社会課題を解決する主体としても重要:新たな社会課題の解決事例として、新型コロナワクチンの開発や断水中の被災地へのシャワー、手洗い設備の提供などを挙げています。このほか環境問題や子育て問題などの社会課題の解決に貢献しうる、新しい資本主義の担い手として期待されています。
4.スタートアップ支援施設の台頭
近年 スタートアップ企業は東京を中心に続々と誕生しています。
2023年に新設された企業数は、15万2860社で、前年度比7.9%増で、過去最多となっています。
若年層や女性に加えて、現役を引退したシニア層の起業も増えています。
インターネット、クラウドサービス、シェアオフィスなどの活用などにより、低コストで開業できるようになり、起業に対する「心理的なハードル」が低下していることもわかります。
東京に本社を置くスタートアップ企業は2023年末時点で13,150社、就労者数680,150人(フォースタートアップ社調べ)、2位の大阪府が1,113社、47,754人となり、企業数で11倍、就労者数で14倍の開きがあり、東京への集中がわかります。
そしてスタートアップを支援するための施設も、都心部における様々な再開発事業に組み込まれるため、支援施設数が増殖中です。
東京都では、 Startup Hub Tokyoや東京イノベーションベースなどの直営施設に加えて、一定の基準を満たした民間施設を認定インキュベーション施設(Startup Side Tokyo)として設定しています。
東京都の認定施設だけでも23区内で70ヶ所近くになります。
本シリーズでは、時代の潮流として、台頭する「ステートアップ支援施設」のあり方について検討します。
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