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ストーリー化 ベクトル・メイク ⑨

【内容】

  1. ワークショップの熱狂と限界

  2. ストーリーとして組み立てる

  3. 企業連携で外圧を活用する

 

 

1.ワークショップの熱狂と限界

前述した通り、ワークショップは、適切なファシリテーションによって、心理的安全性が確保された「前向きな場」が醸成されると、一種の熱気を帯びてきます。

他人のアイディアに上乗せしていくことで、普段は思いつかないようなアイディアが飛び出していくのを何度も見てきました。

普段は、サポート業務をしている女性スタッフのリアルなアイディアに、上司が驚く場面も多々あります。

このように「前向きな場」が出来上がると、そこで生み出されるアイディアは、「非常に積極的なプラン」に仕上がる事が多いのです。

ところが、ワークショップの場では盛り上がって、前提や認識が共有されていても、その成果を部外者に説明して共感してもらえるかと言うと、結構難しいのです。

前提やプロセスをすっ飛ばして「非常の積極的なプラン」を提示されても、部外者にとってはチンプンカンプンです。

部外者は「前向きな場」など知りませんから、冷静に、寧ろ慎重(ネガティブ)に成果を受け取ってしまい、「非常に積極的なプラン」は了承されないという結果になってしまうことが多いのです。

 

2.ストーリーとしての組み立てる

部外者にワークショップでのアイディアなどを提示するときには、アイディア単体ではなく、ストーリー化が必要になります。

起承転結でも良いですが、私たちは「WHY→WHAT→HOW→FUTERE」の流れでストーリー化を行います。

WHY:なぜ今それが必要なのか? 危機認識と行動の必要性の提示

WHAT:そのためには何が必要なのか? 具体的な行動・施設の提示

HOW:どのようにすれば可能なのか? 方策と手順の提示

FUTERE:それによって、どのような未来が開けるのか? 結果として得られる果実

 

都市開発をプロジェクトのゴールにするのではなく、その都市開発を舞台にして、未来のゴールに向けてどのような活動を展開していけるのかを 提示していく事が重要だと考えます。

単にワークショップを開催して、ワイワイ議論して盛り上がって終わりではなく、その先に周囲を巻き込んで、どのような行動を起こしていけるのかが大切なのです。

 

3.企業連携で外圧を活用する

社内の論理だけではなく、外部社会のスタンスとの協調を促すために、企業連携などの「外圧」を利用することも有効です。

私の知人が1990年代にトヨタを中心に仕掛けた「WILLプロジェクト」は、期間限定の実験プロジェクトで、単独では動きが鈍くなりがちな大手企業同士が、お互いに「WILLプロジェクトとして、〇〇社でもやっているから、やってみよう」という外圧を掛け合う仕組みだったと、当時の狙いを明かしてくれました。

ワークショップとして個人がアイディアを出し合うだけでなく、「共同研究」として企業同士でプロジェクトを検討するわけです。

ある複合都市開発プロジェクトでは、IT、交通、放送、観光などの企業と連携して、未来の都市インフラについて想定し、実装を検討しました。

2030年程度を目標にした場合、交通系企業から

「個人データに直結できる自動運転モビリティの実装が想定される」

と言う予想が提示されると、 IT 企業を交えて

「その前提であれば、自分の好みのお店やイベントに、自動で連れて行ってくれるモビリティが走り回っている街ができる」

と言う都市イメージが想定されました。

単なるブレスト会議のアイデアでは、実現に向けて社内の了承は難しいですが、企業連携による「共同研究の成果」として、このような「都市イメージ」が得られると、自信を持って戦略的な未来の複合都市開発が推進できるのでは無いでしょうか。

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