建物低層部と街との関わり方について、企画・構想コンセプトとして何も提示がなければ、どうなるでしょうか?建築設計では公開空地を確保しながら、上下動線及び管理面からの条件を元に、コアの位置が設定され、ビルのステイタス空間としてのエントランスを計画してしまいます。こうして何となく設けられた公開空地と、ガランとしたロビースペースとが生まれるのです。
本来は、街ぎわプレイスで生み出したいアクティビティを想定し、それを支えるMD・施設の配置を前提に、低層部の建築・環境レイヤーの計画を練って行くべきなのです。
建築・環境レイヤーにおける街との関わりの方向性は、平面と断面のパターンで提示することが可能です。
平面的な関わりパターンは、縦軸に開放性の強弱、横軸に賑わい性の強弱を設定すると、4種類になります。 【①開放・強/賑わい・強】:開放的で周りの賑わいにつながっていく低層部イメージです。コレド室町の路面店街がベンチマークになります。 【②開放・強/賑わい・弱】:開放的ですが、緑を重視してつながっていくイメージで、東京ミッドタウンがベンチマークになります。 【③開放・弱/賑わい・強】:囲われた中に賑わいを作るイメージで、六本木ヒルズがベンチマークです。 【④開放・弱/賑わい・弱】:緑豊かな中庭のイメージで、丸の内ブリックスクエアがベンチマークになります。このように想定すると、どのパターンに近い利用をしたいのかが、明確になります。
また断面的な関わりパターン5種類想定されます。①外向き店舗の配置が基本になり、②カフェテラス的に外部への滲み出すパターン、③さらに外部にアクティビティの受け皿となる独立店舗などの施設を配置するパターン。④それとは逆にサンクンガーデンなどで内に取り込むパターン。⑤さらに大屋根などで半屋内の広場化するパターンに整理されます。
もちろん公開空地の制約や様々な敷地条件があるため、簡単なパターン採用は難しいと思いますが、企画・構想コンセプトでは低層部において、どのような「街ぎわプレイス」を作り出したいのか?を提示する必要があるのです。建築設計は、提示された方向性を如何に具体的に落とし込んでいけるのか?が腕の見せ所になると言えます。
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