【内容】
新しいコミュニティの必要性
生活をリデザインできる可能性
働けて遊べて住めるシン・アーバンライフスタイル
1.新しいコミュニティの必要性
戦後の経済成長期に農村での血縁・地縁などの伝統的な共同体から逃れて、都市に集まった人たちの受け皿になったのが、終身雇用型の会社における社縁というコミュニティでした。
毎日の通勤が前提になっていたため、「家」は会社への通勤時間を最小限にできる「場所」で、コスパの良い「間取り」を探すという思考になっていました。
子どもが生まれれば子育てや医療環境などの要素が入りますが、シングル生活の「家」の場合はワンルームで寝られれば良い程度の機能しか求められなかったのではないでしょうか?
このような「家」を拠点にした生活は、朝起きて電車で出勤して、夕方まで会社のオフィスで働いて、会社の同僚と飲んで帰って眠るという生活リズムの繰り返しが基本になっていました。
これではその「家」にも、周りの「街」にも 関心も愛着も抱きようがなく、物足りない感覚はあるものの「仕方ない」と諦めていたのです。
しかし「失われた30年」を経て、日本型経営が維持できなくなり、転職・副業が定着すると、会社への帰属意識が低下し「社縁」を失った都市住民の多くは、「根無し草状態」になってしまったと言えるのではないでしょうか
経済活動だけ、損得勘定だけのドライな関係は、分かりやすいですが、ギスギスしてしまい、結果的にコスト高な上に不安が付き纏います。
いま都市住民には、「社縁に代わるコミュニティ」が求められているのです。
2.生活をリデザインできる可能性
コロナ禍でリモートワークにシフトせざるを得なくなって、最初は通信環境の悪さに手間取りましたが、グループウェアを活用することで、連絡も会議もそれほど支障がない事がわかってしまいました。
もちろんリアルでの会議の方が、音声以外の様々な周辺環境をインプットできるので、安心できますが、そのための移動の手間やコストを考えると、費用対効果が悪すぎます。
オンラインが基本で、リアル会議が特別という「新しい常識」が根付いたのです。
2024年現在もフルリモートは少ないものの、会社への出社は週2−3日というハイブリッド勤務が定着してきています。
自宅を中心とした生活圏で過ごす時間が長くなると、「都心から〇〇分」「駅から〇〇分」という交通利便性以外の「生活価値」が求められるようになります。
緊急事態宣言下で自宅周辺でしか過ごせない期間に、住宅とランチ対応のチェーン店しかない「我が街の退屈さ」を痛感した人も多かったのではないでしょうか。
「どこででも働け、どこにでも住める時代」になりつつあります。
この「新しい常識」に伴い、住宅選びにおける都心への通勤条件が大幅に緩和され、これまでの都心を頂点とした住宅地のヒエラルキーを一新させます。
生活をリデザインできる時代が到来したのです。
3.働けて遊べて住めるシン・アーバンライフスタイル
生活をリデザインするにあたっては、郊外の広い家でリモートワークを志向する人たちと、都会の生活をより楽しめる生活スタイルを志向する人たちとで二極化していくと考えます。
そして独身志向が強まるにつれ、働けて遊べて住めるシン・アーバンスタイルを選択する人たちが増えていくのではないでしょうか?
三菱地所や野村不動産などの大手ディベロッパーが「コリビング」事業に参入し、近年にわかに注目を浴びる様になってきたのには、この様な時代背景があります。
寝るだけの部屋は、一日10時間程度しか稼働していません。
働くだけのオフィスは、一日8時間程度の稼働です。
いずれも24時間の半分以下の稼働しかしていない「モッタイナイ状況」です。
都会で「働けて遊べて住めるシン・ライフスタイル」が、この状況を変革します。
コリビングこそ、新しいアーバンライフスタイルだと考えます。
このような認識を元に、本シリーズでは、コリビング事業を検討していきます。
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