【内容】
XRとは何か?
ARによるビジネス機会の拡張
1.XR とは何か?
まず「XR」というワードの定義から整理していきます。
XRとはExtended Reality又は Cross Reality の略称で、VR(仮想現実),AR(拡張現実),MR(複合現実)などの技術の総称で、広義では「メタバース」と同義とする説もあります。
メタバースは、インターネットを舞台にして、自分のアイデンティティとして、アバターで参画し、ブロックチェーン技術などで安全性を担保した上で、コミュニティ・経済活動が行われる「仮想社会」で、将来的にはこちらに市場の主役がシフトすると想定されています。
デバイス・通信など技術革新と、これに連動した法整備を前提にして、個人・法人のメタバース内での活動時間が増加していくと、2030年には世界市場1600兆円、国内市場100兆円という市場予想もあります。
リアル社会での活動時間の減少は、リアルな既存事業者への影響も大きく、メタバース市場の成長ステージに合わせて対応していく必要があります。
【短期的な対応】既存の店舗・不動産のデジタル化により、「リアル×デジタル」による価値創造を図る。
【中長期的な対応】新規事業者との連携により、メタバース上に新たな空間・コンテンツの開発を模索する。
本シリーズでは、リアルを起点にした AR(拡張現実)を中心に、その可能性と課題を検討していきます。
2.ARによるビジネス機会の拡張
商業施設における「リアル×デジタル施策」のトップランナーである「株式会社パルコ デジタル推進部 安藤寿一氏」は、 ARに取り組む意義を、「建物のサイズ以上に、面白い出来事が起こるビルを作れる事にある」とコメントしています。
パルコでは、安藤さん達が中心になって、エレベーターホールや通り抜け通路を活用して、様々なクリエイターのAR作品を展示する試みを続けています。
テラススペースを活用して、腕時計メーカーのタグホイヤーをスポンサーにしたインスタレーションの実績も持っています。
安藤さん達は、ビジネス機会の拡張として、下記の3点を挙げています。
空間の拡張:物理的な制約がなく、かつ同じ場所に複数のコンテンツを投入できる。
関係の拡張:物理的な制約が無くなり、従来の関係者だけでなく、一般的なクリエイターの作品を提供するなど、新たな関係機会を構築できる。また提供コストも、リアルに比べて大幅に削減可能。
価値の拡張:バーチャルならではのインタラクションに加え、ビルを舞台にした「出来事」が無限大に増える。将来的には「ビル丸ごとYouTube化」をイメージしている。
2025〜2030年ごろに開業を迎える都市開発が多い中で、リアルな場を活用して、「AR技術による空間・関係の拡張を通じた価値創造を図る」というパルコのスタンスは、非常に参考になるのではないでしょうか。
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