そもそも大学の起源は中世の西ヨーロッパにあると言われます。「学ぶ→教える」という関係が中世の職人ギルドの師弟関係と一致したことから、多くの親方ギルドが集まり「大学」に進化していきました。このような経緯で生まれた大学は、教会からも国家からも自立した組織として「学問の自由」を掲げてきたのです。その後も社会の進展とともに実用性や職業教育を重視しながら、産業界に対応して柔軟に進化し続け現代に至ります。
一方日本の大学は、明治維新とともに「近代化の装置」として創設されたという背景があります。中央政府を支える法科ゼネラリストを養成する東大と京大、理工系テクノクラートの養成を担った地方帝大をはじめとして、「国家主導型の官僚養成機関」だったといえます。戦後の高度経済成長に伴い、急上昇する大学進学率の受け皿として、私立大学が急激に増加してきましたが、少子化とともに大学全入時代とすら言える状況になっています。
国主導で様々な大学改革が検討され、1991年の大学設置基準の大綱化では、一般教養課程が重視されなくなり、研究中心で大学院生が急増します。これは大学のポストが増えなかったため「高学歴ワーキングプア」問題の要因といわれます。さらに2004年には国立大学法人化によって、全国に86校ある国立大学は急に競争的な環境に晒されるようになります。
このように全く異なる経緯を辿りながら、我が国の大学もある意味で「自立」が求められ、欧米の大学と同じ土俵に乗せられた状況とも言えます。従来型の大学運営では生き残りが難しい業界動向の中で、人生100年時代に対応した柔軟な「学び直し機会」の提供が不可欠になっていると言えるのではないでしょうか。
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