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「推し活」の市場性 「推し活」文化 ⑤

【内容】

  1. 「推し活」の拡大要因

  2. 「推し活」の市場規模

  3. より能動的な消費行動へ

 

 

1.「推し活」の拡大要因

成熟社会化に伴う「日常のコモディティ化」の中で、注目を浴びる様になった「推し活」ですが、その拡大要因として、下記の2点が挙げられます。

  1. コロナ禍に伴う行動変容:コロナ禍に伴い、外食やレジャー、美容などの消費が減少し、Netflix、電子書籍、通販に対する支出が増えました。

自分の趣味や関心に関するものが、巣ごもり消費の中心になったのです。

電通若者研究部の「推しに関する調査」によると、全体の20%が、「コロナ禍に入ってから推し活をするようになった」と回答しています。

  1.  SNSの普及:オタクに限らず一般消費者においても、「趣味のためのSNS アカウント」を持つ様になっています。

SNSでのコミュニケーション機会の増加で、自分の好きな人やモノに関する情報発信や交流が、自由にできるようになりました。

 

 

2.「推し活」の市場規模

推し活消費とは、自分が必要で気に入ったから買うだけではなく、「応援したい」から買う消費のことです。

矢野経済研究所の「オタク市場に関する調査:2022年」によると、市場規模は下記の通りです。

  1. アニメ:2650億円

  2. アイドル:1500億円

  1. 同人誌:800億円

  2. プラモデル:415億円

  3. フィギュア:346億円

全14項目を合わせると6700億円となりますが、一つの「推し」から直接的、間接的な市場が発生し、経済圏として拡大していきます。

因みにキャラクタービジネス市場は2兆5235億円(矢野経済研究所:2020年)に上っています。

推し活、推し消費は、分野横断的な市場・消費行動で、今後も伸びることが予想されている領域です。

新たな事業機会のヒントが多く見出すことが出来そうです。

 


3.より能動的な消費市場へ

コロナ禍において消費者は、ステイホーム状態でできる範囲で、推しを応援してきました。

それはグッズの購入や、コンテンツの視聴、クラウドファンディングでの支援やオーディション企画での投票など「ヒト」への消費と言える分野でした。

行動制限が緩和されて、これらの「ヒト消費」に加えて、対面でのイベントや他のファンとの盛り上がりなど、推しを媒介に生み出される「トキ消費」の交流が想定されます。

コンサート会場で、他のファンとお揃いのコーディネイトで参加したり、ボードや応援グッズを作成して、会場に持ち込み、思い思いの方法で応援することが加わってきます。

「どこで」「誰と」「どのように」楽しむのか?で大きく消費が膨らみます。

「やっと」「せっかく」行えた消費という「達成感」や「安堵感」が、「お久しぶり消費」として後押しするのではないでしょうか。

加えて、コロナ禍に「推し活」にハマった人達が、実際にコンサート会場に足を運ぶことになり、参加するための洋服や応援グッズを購入したり、生演奏や生の会場の雰囲気を楽しんだりすることになります。

推し活は、より能動的な消費行動へと変化していくでしょう。

コロナ禍前には経験していなかった、「初めまして」となる消費を経験することも、増えるはずです。

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