第3章 街を育てる基本原則
― Mixed Use × Active Frontage が街を変える ― 【内容】 1.用途を混ぜることが街の活力を生みます 2.建物の一階が街の表情を決めます 3.街を設計する時代へ 1.用途を混ぜることが街の活力を生みます メルボルンの街を歩いて最初に感じたのは、「時間によって街の表情が変わる」ということでした。 朝は通勤する人がコーヒーを片手に歩き、昼には近くのオフィスワーカーや観光客がカフェや広場で思い思いの時間を過ごしています。夕方になると仕事帰りの人がレストランやバーへ立ち寄り、夜になっても街には適度な賑わいが続きます。 休日になると、今度は家族連れや学生、旅行者が街の主役になります。 つまり、一日の中で街を利用する人が自然に入れ替わっているのです。 この背景にあるのが、「Mixed Use(ミクストユース)」という考え方です。 住宅、オフィス、商業施設、ホテル、文化施設などを一つのエリアに適度に混在させることで、一日を通じて人の流れを生み出しています。 日本では、住宅地、商業地、業務地を明確に分ける都市計画が中心でした。そのため
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第2章 メルボルンはなぜ世界一住みやすい街になったのか
― 都市再生が生み出した「暮らしの質」― 【内容】 1.メルボルンは20年以上かけて街を育ててきました 2.目指したのは「24時間人が暮らす都心」でした 3.住みやすさは「都市の文化」から生まれました 1.メルボルンは20年以上かけて街を育ててきました オーストラリア第二の都市メルボルンは、現在、「世界で最も住みやすい都市」の一つとして広く知られています。 街を歩いていると、その理由はすぐに分かります。 朝は通勤する人とカフェでくつろぐ人が混ざり合い、昼には広場や公園で思い思いに過ごす人々の姿があります。夕方になるとレストランやバーが賑わい、休日にはヤラ川沿いで家族や友人とゆったりとした時間を楽しむ人々であふれます。 街全体に、人が自然に滞在し、思い思いの時間を楽しむ空気が流れているのです。 しかし、この街並みは最初から存在したわけではありません。 1990年代までのメルボルン中心部は、現在とは大きく異なる街でした。昼間はオフィスワーカーで賑わう一方、夜や休日になると人通りが少なくなる典型的な業務中心都市だったのです。 そこでメルボルン市は、「2
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第1章 なぜ今、街づくりをアップデートするのか メルボルンの街づくり ①
― 成長社会から成熟社会へ ― 【内容】 1.現在の街づくりは「高度成長という時代の解答」でした 2.しかし、街を取り巻く前提条件は大きく変わりました 3.これからは「文化を育てる街づくり」が求められます 1.現在の街づくりは「高度成長という時代の解答」でした 私たちが暮らしている都市の多くは、高度経済成長期に形づくられました。 人口が増え、都市へ人が集まり、住宅やオフィスが不足していた時代です。 街づくりに求められたのは、できるだけ多くの人が便利に暮らせる環境を、できるだけ早く整備することでした。 そのため、住宅地、商業地、オフィス街と用途を分け、道路や鉄道を整備し、大規模なビルや商業施設を建設することが都市開発の中心となりました。 不動産ディベロッパーは、社会が求める空間を大量に供給し、日本の経済成長を支えてきました。 住宅不足を解消し、人々の働く場所や買い物をする場所を整えたことは、日本社会にとって大きな役割だったと言えるでしょう。 つまり、現在の街づくりは、「成長社会」という時代の課題に対する最適な解答だったのです。...
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